交通事故で相手に怪我をさせた場合の罪や罰金は?弁護士は必要か

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交通事故はふとした油断で起こしてしまうことは珍しくありません。交通事故を起こしてしまった場合、過失割合はあるものの、運転していた者に責任があります。責任がある以上、罪を償う必要もあるでしょう。ただ、必ずしも罪や罰金を科せられるわけではありません。

この記事では、処分が科せられる交通事故の内容や処分の内容などを説明していきます。

交通事故で罰金が発生するのは人身事故のみ

交通事故を起こして免許の違反点数が加算されたり罰金が科せられたりするのは、人身事故のみです。物に対して交通事故を起こした場合は物損事故となります。車の衝突事故であっても相手に怪我をさせていなければ、点数の加算や罰金の支払いは発生しません。

もしむちうちなどで事故の相手が医療機関を受診したとしても、警察署に診断書を提出し人身事故の届出をしなければ、人身事故扱いにはならないのです。つまり、警察で交通事故を人身事故として受理して初めて人身事故となります。

反対に、事故発生当初は物損事故で処理されていても、相手の気が変わって途中で人身事故に切り替えられることがあります。切り替えの届出受理期間は事故後10日間くらいの猶予があると言われているので、その間は気持ちの準備をしていたほうがいいでしょう。

人身事故として受理された後は交通事故の規模や運転状況などが考慮され、行政処分内容や刑事処分内容が決められます。

人身事故の点数は何を基準に決められる?

人身事故を起こすと、免許の点数が加算されます。点数は6点以上になると免停となり、最低30日間運転ができなくなります。人身事故を起こすような人が運転するのは危険だから、免許取りたての初心者さながらに気持ちを入れ替えてほしいという考えがあるのでしょう。

人身事故における点数の考え方は、「専ら」と「専ら以外」で異なります。専らとは相手の過失が少なく大半が違反者の不注意で起きた事故で、反対に相手の過失も大きい事故は専ら以外と判断されます。専らで6点となるのは、事故相手の治療期間が15日以上30日未満の事故です。

対して、専ら以外で6点となるのは、治療期間が30日以上3ヶ月未満の事故です。治療期間が15日未満の事故では専らであっても3点となり免停にはなりませんが、人身事故の付加点数に事故原因となった交通違反の違反点数が加点されるので、注意が必要です。

交通事故の違反点数は酒酔い運転の35点が最大で、最小の1点は無灯火や交差点等進入禁止違反、交差点優先車妨害などが挙げられます。もし人身事故を起こした際に時速25km以上30km未満の速度超過を行っていたことが明らかになった場合は、3点加算されます。

したがって、相手の怪我が大したことがなくても、他の交通違反によって6点以上となり、免停になる可能性は十分にあるということです。

また、事故を起こす前に何かの違反で点数が加算されていた人も6点以上になりやすいでしょう。こうした免許に関する処分は、行政処分によるものです。

刑事処分が課せられる可能性もある

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交通事故を起こすと、必ず免許の取り消しや免停によって行政処分が下されます。しかし、事故の規模によっては刑事処分も下されることがあり、処分内容は罰金だけでなく、懲役が科せられることもあります。刑事処分は、社会の法秩序を守るための処分です。

近年はあおり運転など交通事故の問題が取り沙汰されることが増えてきたため、車の死傷事故の厳罰化が進んでいます。警察署で人身事故として事故が受理されると、検察官が刑事事件として立件します。事故の内容を考慮して、道路交通法を適用させたり自動車運転死傷行為処罰法を適用させたりします。

罪状は過失運転致死傷罪か危険運致死傷罪のいずれかになるのが一般的ですが、ひどい事故で相手が亡くなった場合は殺人罪となるでしょう。過失運転致死傷罪は、故意ではなく不注意で相手を死亡させてしまった場合に適用されます。

科せられる罰は、7年以下の懲役か禁錮、もしくは100万円以下の罰金という内容です。そして、危険運致死傷罪は危険な運転によっての死亡事故で適用され、1年以上の有期懲役が科せられます。

罰金の金額は相手の怪我や後遺障害によって決められ、重症事故の場合は罰金30~50万円、不起訴処分であっても12~20万円支払う必要があります。

民事処分によっても償わなければいけない

人身事故を起こしたら、行政処分と刑事処分の他に民事処分でも相手に償う必要があります。民事処分では事故の相手に損害賠償金と慰謝料をセットにして払うのが一般的で、運転する人は皆こうした事態に備えて自動車保険に加入しています。

ですから、ほとんどの場合は保険でカバーできるはずです。しかし、任意保険に加入しておらず自賠責保険のみだった場合は自己負担があるかもしれません。怪我をした被害者が要求できる損害賠償請求の項目は多いです。後遺障害で等級が認定された人は、治療費だけでなく後遺障害慰謝料や入退院慰謝料、逸失利益、そして休業損害も請求が可能です。

後遺障害がない人は、治療費に入退院慰謝料、休業損害が請求できます。治療費でもめることはほぼありませんが、その他の部分においては弁護士を挟んで交渉が行われることが多く、時に裁判に発展します。と言っても交渉や裁判は保険会社の弁護士が対応してくれるため、基本的に事故の加害者が法定に出頭することはありません。

免停期間を短縮してもらうことは可能

交通事故を起こして相手を傷つけた場合、多くの人は心から反省します。まして死亡させてしまった場合は強い罪悪感を覚え、下された処分や罰を素直に受けることは珍しくありません。もちろん重大事故である以上、素直に罪を受け入れることは正しい行いと言えます。

それでも、中には下された処分が重過ぎるという事案も存在します。例えば、運転免許を取り消されれば死活問題になるという人は、処分の前に実施される「意見の聴取」を大いに活用するといいでしょう。これは交通事故や交通違反をしたことにより90日以上の免停が科せられた人が、処分を軽くすることができる機会です。

免停処分が決まると、公安委員会から意見の聴取通知書が届きます。場所や日時は決まっており、一度に何人かまとめて意見の聴取が行われます。飲酒運転や無免許運転で処分を軽減してもらうことは、残念ながら難しいです。

しかし人身事故の場合、過去の違反歴や示談の有無、本人の反省程度によっては処分が軽減されることがあります。意見の聴取が終わるとその日に処分が決定されるため、ラストチャンスとなります。どうしても軽減して欲しいと思うのなら、弁護士に相談して、根拠のある書類を作成してもらうのも手です。